企業のSNS運用に取り組むなかで、「思うように成果が出ない」「投稿が続かない」「炎上リスクが気になる」といった悩みを抱えている方は少なくありません。
こうした課題に直面すると、日々の運用が負担となり、やがて手が止まってしまうこともあります。
SNS運用における悩みを解消するには、その根本的な原因を明らかにし、継続的に改善できる仕組みを整えることが不可欠です。
そこで本記事では、SNS担当者が直面しがちな6つの悩みや、悩みを生まないための体制づくりのポイントを解説します。
SNSの運用方法を改善し、成果につなげていきたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
1. 企業のSNS運用でよくある6つの悩みと解決策

SNS運用を進める中で、多くの企業が共通して抱える悩みがあります。
ここでは、よくある6つの悩みと、その解決策をご紹介します。
1-1. 投稿のネタが尽きる
ネタ切れは、SNS運用で多くの担当者が直面する悩みです。
ただし、ネタがないというよりも、アイデアを引き出す工夫や視点が不足していることが原因のケースも少なくありません。
例えば、一つの情報をさまざまな形に展開する「ワンソース・マルチユース」は、投稿の幅を広げるうえで有効です。
一つのテーマに対して、X(旧Twitter)では短文を、Instagramではスライドを、TikTokでは短尺動画を投稿するといったように、複数の形式で展開します。
また、投稿ジャンルに一定の型を設ければ、ネタを探す負担も減らせます。
「商品紹介」「よくある質問への回答」「開発の裏側」「お客様の声」といったように、投稿内容をいくつかのテーマで分類しておけば、毎回ゼロから考える必要がなくなり、スムーズに発信できるでしょう。
なお、SNS運用のネタ切れの原因や解決策などは、次の記事で詳しく解説しています。
関連記事:企業のSNSで今日から使える投稿内容9選!投稿時の2つの注意点も解説
1-2. リソースが足りない
SNS運用では、人手や時間が不足しがちです。
特に他業務と兼任している場合は、日々の投稿やユーザー対応の継続自体が負担になりやすく、運用そのものが滞る一因にもなります。
このような場合は、ツールを積極的に活用し、業務の効率化を図りましょう。
代表的なものとして、次のような選択肢があります。
- 投稿予約ツール…HootsuiteやBuffer、SocialDogといったツールを活用し、複数の投稿をまとめて作成・スケジュール化することで、日々の負担を軽減できます
- デザインツール…Canvaのようなツールを使えば、専門知識がなくても高品質な画像や動画を短時間で作成可能です。テンプレートを活用すれば、制作の手間も大幅に削減できるでしょう
- 生成AI…ChatGPTやGeminiを使えば、投稿テーマのアイデア出しや文章のたたき台、ハッシュタグ候補の抽出など、投稿の企画〜制作を効率化できます
上記のようなツールを活用すれば、少人数でも業務品質を維持しつつ、企画立案や分析などに集中できる時間も確保しやすくなります。
1-3. フォロワーが増えない・反応が少ない
投稿を続けていても、フォロワーが増えなかったり、「いいね」やコメントといった反応が得られなかったりすることも、SNS運用でよくある悩みです。
その背景には、発信内容とターゲットが求めているものとの間にズレがあると考えられます。
見直すべきはターゲットの設定です。
誰に届ける投稿なのかがあいまいなままでは、内容が広く浅くなり、結果として誰の関心も引けなくなります。
届けたい相手の年齢層や関心事、SNSの使い方をイメージし、それに合わせて表現やビジュアルを選ぶことが大切です。
あわせて、ハッシュタグの使い方も工夫しましょう。
人気のタグだけでなく、業界特有のハッシュタグや、自社独自のキャンペーンタグを組み合わせることで、関心のあるユーザーに投稿が届く可能性が高まります。
1-4. 成果が売上につながらない
SNS上で「いいね」は多くても、実際の売上や問い合わせに結びつかない場合もあります。
このような状況は、ユーザーが投稿を見たあとに行動へ移る導線が設計されていないことが原因のケースが多く見られます。
まず確認したいのは、プロフィールの内容です。
ユーザーがアカウントを訪れたときに、どのような企業なのか、どのような商品・サービスを扱っているのかがひと目で伝わるようにしましょう。
あわせて、興味を持った人がすぐにアクセスできるよう、商品ページやサービス詳細ページへのリンクも設置します。
なお、Linktreeのようなサービスを使えば、自社サイト・商品ページ・キャンペーン特設ページなど、複数のリンク先を1つの画面で一覧表示が可能です。
自社に興味を持ったユーザーを、案内したいページへスムーズに誘導できるような状態に整えましょう。
1-5. 効果測定・分析の方法がわからない
SNSを運用していると、「どの指標を見て分析すればよいのかわからない」と感じることがあります。
これは、指標の意味を正しく理解できていないことが原因かもしれません。
まずは、分析の基本となる指標の意味を把握しましょう。
- インプレッション数…投稿がユーザーの画面に表示された総回数です。同じ人が2回見れば「2」とカウントされます。投稿の露出量を示します
- リーチ数…投稿を見た「ユニークユーザー数(人数)」です。同じ人が何回見ても「1」とカウントされます。投稿が何人に届いたかを示します
- エンゲージメント率…投稿を見た人のうち、どれくらいの割合が「いいね・コメント・保存」などの反応をしたかを示す数値です。投稿の質や魅力を示す指標です
- クリック数…投稿やプロフィールに含まれるURLがクリックされた回数です。サイトへの誘導が成功したかを示します
上記の内容を理解したうえで、投稿内容や発信頻度を見直し、運用の改善につなげましょう。
1-6. 炎上が怖い
SNSでの炎上リスクに悩み、投稿のたびに「これで本当に問題ないのか」と迷いながら運用を続けている担当者もいるでしょう。
企業アカウントでは、小さな表現ミスや誤情報が拡散し、ブランドイメージに影響する可能性があるため、慎重な判断が常に求められます。
何が問題とされるのかが明確でないまま投稿を続けていると、不安を抱え込んだままの運用になりかねません。
このような状態を改善するためには、炎上につながりやすい要因を知ることが大切です。
具体的には、次のような内容が挙げられます。
- 差別的な表現
- 事実誤認
- 不謹慎な発言
- 社外秘の情報漏洩
- アカウントの操作ミス
注意するべきポイントを理解することで、「何がリスクにつながるのか」が判断しやすくなり、投稿に対する心理的な負担を軽減できるでしょう。
2. 企業のSNS運用で悩みが生じる3つの原因

SNS運用に関する悩みは、一見すると個別の問題に思えるものでも、実は共通する要因から生まれている場合があります。
ここでは、企業のSNS運用で悩みが生まれやすくなる3つの原因を解説します。
2-1. 目的・戦略が定まっていない
SNS運用に関する悩みは、多くの場合、目的や戦略があいまいなことに原因があります。
何を目指しているのかが明確でないと、どのような内容を投稿するべきか、どのような方針で進めるべきかの判断が難しくなり、「何をすればよいのか分からない」という状態に陥りがちです。
また、「なんとなく認知を広げたい」「売上に貢献してほしい」といった抽象的な目標では、誰に何を届けるべきかが定まらず、ユーザーの関心からもずれた発信が続いてしまいます。
その結果、「フォロワーが増えない」「反応が薄い」「ネタが思いつかない」といった悩みにつながるのです。
2-2. 社内体制が整っていない
適切な体制が整っていないことも、SNS運用の悩みを生む要因の一つです。
例えば、担当者がほかの業務と掛け持ちしていたり、明確な役割分担がないまま一人に任されていたりするケースでは、時間や労力が足りず、投稿の準備や改善に手が回らなくなります。
また、投稿内容の確認ルールが定まっていなければ、誤情報や不適切な表現をそのまま出してしまうリスクも高まるでしょう。
さらに、他部署との連携体制がない場合、必要な情報が集まらず、伝えられる内容や切り口が限られます。
「投稿が続かない」「炎上への不安が拭えない」といった悩みは、こうした社内体制の不備から生じるのです。
2-3. 分析・報告の仕組みがない
SNS運用に関する悩みの背景には、分析や報告の仕組みが整っていないことも挙げられます。
成果を把握するための基準が決まっていないと、どの数字を見て判断すればよいのか分からず、改善の方向性を掴めません。
その結果、SNS運用が「効果が分かりづらい業務」と見なされ、社内での評価が低下するおそれがあります。
加えて、分析や報告の方法が整理されていないと、「どこまで調べればよいのか」「何を伝えればよいのか」と毎回迷ってしまい、運用の負担が増す原因にもなるでしょう。
こうした状況が続くと、分析方法がわからず投稿の改善も難しくなるため、「成果が売上につながらない」という状態につながります。
3. SNS運用の悩みを生じさせない体制を作るポイント

SNS運用の悩みは、企業の体制を整えることで防げる可能性があります。
ここでは、体制構築の3つのポイントを解説します。
3-1. 運用目的・KPIを明確化し、戦略を立てる
SNS運用に悩みを抱えにくくするためには、運用目的を設定し、その達成度を測る指標を明確にすることが重要です。
最初に設定するべきは、SNS運用によって実現したい最終的な目標(KGI)です。
例えば、「ブランド認知の向上」「採用の強化」「売上拡大」など、事業全体とのつながりを意識したゴールを設定します。
そのうえで、目標の進捗を把握するための中間目標(KPI)を決めることで、投稿内容や企画の優先順位を判断しやすくなるでしょう。
KGIとKPIの例は、次の通りです。
| 最終目標(KGI) | 判断の目安(KPI) |
| ブランド認知の向上 | フォロワー数、表示回数 など |
| 採用活動の強化 | 採用ページへの遷移数、説明会参加数 など |
| EC売上の拡大 | SNS経由のアクセス数、クーポン利用数 など |
目的と指標が明確であれば、「ネタが尽きる」「成果が見えない」といった悩みを防ぎやすくなるでしょう。
3-2. 現実的な運用体制と承認フローを構築する
「投稿のネタが尽きる」「リソースが足りない」「炎上が怖い」といった悩みを防ぐためには、無理なく回せる運用の仕組みを整えることが重要です。
そのためには、日々の業務を分担しやすい形で整理し、投稿前の確認ルールを明確にする必要があります。
まず、次のように運用業務を洗い出しましょう。
- コンテンツ企画
- デザイン・動画作成
- 投稿・スケジューリング
- コメント・DM対応
- 分析・レポート
このうち負荷が集中しそうな業務には、外注やツールの活用も視野に入れると、限られた人手でも安定して運用できます。
また、投稿内容の誤りや表現ミスを防ぐためには、承認フローを設けることも有効です。
特に判断が難しい内容は、広報や法務などの確認を経るルールにすると安心です。
加えて、投稿ルールや対応方針をまとめた「SNS運用ガイドライン」を用意すれば、業務の方針が明確になり、担当者が日々の判断に迷いにくくなるでしょう。
SNS運用ガイドラインの作り方やテンプレートは、次の記事でご紹介しています。
関連記事:【ひな形あり】企業のSNS運用ガイドラインとは?7Stepの作り方も解説
なお、社内リソースの確保や体制構築そのものにお悩みなら、「Brand Hatch株式会社」のSNS運用代行サービスにお任せください。
グループ会社の「株式会社ブリジア」で培ったSEO対策の知見とAI技術を活かし、企画から分析まで一気通貫でサポートいたします。
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3-3. 成果を振り返る場と手段を定着させる
SNS運用で「分析の方法がわからない」「社内に成果が伝わらない」といった悩みを防ぐためには、成果を振り返る場とその手段を、日々の業務に組み込むとよいでしょう。
例えば、指標の推移や投稿ごとの反応を整理したレポートを毎月作成し、それをもとにチーム内で状況を確認する時間を設けると、改善点が共有しやすくなります。
振り返りを一部の担当者だけに任せず、関係者全体で確認することで、多角的な分析が可能になるでしょう。
毎回のレポート作成が負担にならないよう、次のようなテンプレートを活用するのも有効です。
▼そのまま使える!月次レポートテンプレート
件名:【YYYY年MM月】SNS運用レポート
報告者:[部署・氏名]
1. 今月のサマリー
- フォロワー数が目標を達成(前月比+300人)
- 〇〇投稿が過去最高のエンゲージメント
- LINE経由の購入が20件増加
2. KPI進捗(表形式)
KPI項目 今月 前月比 目標 達成率 フォロワー数 5,200人 +6% 5,000人 104% インプレッション 18万回 +10% 16万回 113% クリック数 420回 +15% 400回 105% 3. ハイライト投稿&顧客の声
- 投稿例:「〇〇特集」リール動画 → いいね数450、保存数120
- コメント例:「この動画で購入を決めました!」
4. 来月のアクション
- 成功投稿の型を展開し、週2本に増やす
- 購入導線の見直し(LP改善をWebチームと連携)
こうした仕組みがあれば、SNS運用の成果を社内で可視化でき、担当者の迷いや孤立感も軽減できます。
4. 企業のSNS運用の悩みに関してよくある質問

ここでは、企業のSNS運用の悩みに関して、よくある質問と回答をまとめました。
4-1. Q. 悩みが多いのは、運用するSNSが合っていないから?
A. プラットフォーム選びが悩みの原因になることはありますが、それだけが理由ではありません。
たしかに、自社のターゲットに利用されていないSNSを選べば、「反応が得られない」「誰にも届かない」といった悩みは生じやすくなります。
例えば、ユーザーの中心が30代以上のFacebookで、若者をターゲットとしたサービスを宣伝しても、成果につながりにくいでしょう。
参考:令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(概要)(総務省情報通信政策研究所)
ただし、最適なプラットフォームを選んだとしても、成果が売上につながらなかったり、分析の仕方が分からなかったりと、別の悩みが生じることもあります。
その場合の原因は、運用の目的や進め方が明確でないケースが多いです。
どのプラットフォームでも成果を出すためには、「なぜSNSを運用するのか」「どのように成果を測るのか」を整理することが重要です。
4-2. Q. なぜこれほど多くの悩みが生じるの?
A. 多くの悩みは、SNS運用を個人任せにしすぎていることに原因があります。
体制が整っていない状態では、担当者が経験や勘に頼って対応せざるを得ず、常に迷いを抱えたまま運用を続けることになるためです。
例えば、「ネタ切れ」や「成果が出ない」といった悩みは、SNS運用の目的や方針が社内で共有されていないために起こりがちです。
投稿の基準をあいまいなまま進めることで、その場しのぎの内容になってしまいます。
また「リソース不足」や「炎上の不安」は、社内の協力体制やチェックルールが整っていないことにより、担当者が一人で抱え込んでしまう状況が背景にあります。
これらは、担当者の努力不足ではなく、運用方針や業務体制を会社として整備していないことに、根本的な原因があるのです。
4-3. Q. 悩みを抱えたままSNS運用を続けるとどうなる?
A. 課題を抱えたまま運用を続けていると、「成果が出ない」「誰も協力してくれない」といったストレスが積み重なり、担当者のやる気が次第に低下していきます。
やがて投稿が止まったり、内容が似通ってきたりと、運用が停滞することも少なくありません。
そうなると、ユーザーの反応も徐々に減っていくでしょう。
また、企業としても、反応の薄い投稿に時間や人手を割き続けることで、労力に見合った成果が得られず、非効率な状態に陥るおそれがあります。
こうした状況を防ぐには、悩みに気づいた段階で体制や運用方法を見直すことが重要です。
5. まとめ
企業のSNS運用で「成果が出ない」「ネタが尽きる」「炎上が怖い」といった悩みは、担当者個人の問題ではなく、体制の不備が原因かもしれません。
こうした悩みの背景には、「目的・戦略のあいまいさ」「社内体制の不備」「分析・報告の仕組みの欠如」のいずれかが原因であるケースが大半です。
これらの課題を解決し、継続的に成果を出すためには、KPIの明確化や現実的な運用フローの構築、成果を振り返る仕組みの定着が欠かせません。
とはいえ、日々の業務に追われて体制づくりまで手が回らない場合もあるでしょう。
そのようなケースでは、SNS運用を専門家に外注することも有効です。
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