企業のSNS運用が当たり前になった今「どのSNSを選ぶべきか」「どうすれば成果が出るのか」といった悩みは、多くのSNS担当者にとって共通の課題です。
SNSと一口にいってもX(旧Twitter)やInstagramなど種類が多いため、自社の目的やターゲットに合わないSNSを運用しても、なかなか成果には結び付きません。
そこで本記事では、各SNSの特徴を比較しながら、自社に合ったプラットフォームを見つける方法について解説します。
さらに、成果につなげるための基本的な戦略や、他社の事例もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1. 企業におすすめしたいSNSマーケティングとは?

SNSマーケティングとは、InstagramやX(旧Twitter)、TikTokなどのソーシャルメディアを活用して、企業のビジネス目標を達成するための戦略の一環です。
SNSマーケティングの業務内容は多岐にわたります。
- アカウントのコンセプト設計
- 日々のコンテンツ作成・投稿
- 顧客とのコミュニケーション(コメント返信、DM対応など)
- SNS広告の出稿・運用
- 効果測定とデータ分析
- 分析に基づいた改善策の立案
単に商品やサービスの魅力を投稿するだけでなく、上記のような取り組みも含まれます。
2. 企業にSNSマーケティングがおすすめの理由

今や多くの企業がSNSマーケティングに取り組んでいますが、その背景にはSNSならではの大きなメリットがあります。
- 顧客の情報収集の方法がSNS中心に変わったから
- SNSが直接的な販売チャネルだから
- 競合との差をつけるための重要な戦略だから
ここでは、企業にSNSがおすすめの理由を上記3つのポイントに分けて解説します。
2-1. 顧客の情報収集の方法がSNS中心に変わったから
企業がSNSマーケティングに取り組むべき理由として、顧客が情報を得る場所が検索エンジンからSNSへと大きくシフトしている点が挙げられます。
総務省の調査によると、今や個人のSNS利用率は約8割に達し、20~50代の約9割がスマートフォンでインターネットを利用しています。
何かを知りたいとき、Googleなどで検索するだけでなく、Instagramでハッシュタグ検索をしたり、Xでリアルな口コミを探したりするのが当たり前になりました。
こうした状況では、信頼する友人や好きなインフルエンサーの投稿、企業公式アカウントからの直接的な情報発信が、顧客の興味を引き、購買を決定づけるうえで重要な役割を担っているのです。
2-2. SNSが直接的な販売チャネルだから
企業がSNSマーケティングに取り組むべき2つ目の理由は、SNSが今や直接的な販売チャネルとして機能しているためです。
かつて、顧客はテレビや雑誌で商品を認知するのが一般的でしたが、現在では商品を知るきっかけの多くをSNSが担っています。
InstagramやXは、単なる情報発信ツールではなく、ユーザーの「欲しい」という感情を喚起し、購買へと導く強力なエンジンへと進化しました。
- オンライン(ECサイト)の場合:
- Instagramの投稿に商品のタグを付け、タップするだけで購入ページへ移動できるようにする(ショッピング機能)
- Xの新商品やセールの告知投稿に商品ページのURLを直接貼り付け、タップするだけで販売サイトへ移動できるようにする
- オフライン(実店舗)の場合:
- LINEで割引クーポンを配信することで、実店舗への来店を促す
- Xで「フォロー&リポスト」を参加条件にしたプレゼントキャンペーンを実施し、アカウントの認知度を一気に高める
SNSを活用すれば、顧客の具体的なアクションを直接促すことができるでしょう。
2-3. 競合との差をつけるための重要な戦略だから
SNSマーケティングは、今や競合他社との差別化を図るための有効な経営戦略です。
株式会社サイバー・バズの調査によると、日本のSNSマーケティング市場は2023年に1兆円を突破し、今後も急速な拡大が予測されています。
データが示しているのは、多くの競合他社がビジネスを成長させるうえでSNSが重要であると判断し、積極的に投資を行っている事実といえるでしょう。
顧客がSNSで情報を探すのが当たり前の現代において、SNS上で情報発信を行わなければ、顧客は競合へと流れてしまいます。
SNSを通して顧客と良好な関係を築き、選ばれる存在になることが、将来的なビジネスの成功を左右するといえるでしょう。
3. 企業がSNSマーケティングを行う3つのメリット

企業がSNSマーケティングを行うメリットは多岐にわたりますが、ここでは特に重要な3つのポイントに絞って解説します。
3-1. 商品やサービスの認知度を拡大できる
SNSマーケティングは、商品やサービスの認知度を飛躍的に拡大できる手段です。
SNSには、ほかのメディアにはない圧倒的な「拡散力」と「即時性」があるためです。
例えば、Xの「リポスト」機能により、ユーザーがよいと感じた投稿が、そのフォロワー、さらにその先のユーザーへと連鎖的に共有され、爆発的に広がる「バズ」が生まれることがあります。
その結果、今までアプローチできなかった多くの潜在顧客にまで情報を届けることが可能になります。
また、新商品やキャンペーンの情報を、伝えたい瞬間にリアルタイムで発信できる即時性も大きな強みといえるでしょう。
3-2. 顧客と双方向のコミュニケーションが取れる
テレビCMなど一方通行の情報発信とは異なり、顧客と双方向のコミュニケーションが取れる点も、SNSマーケティングの大きなメリットです。
投稿についたコメントに返信したり、ユーザーからの質問に答えたりといった日々の交流を通して、顧客との間に深い信頼関係を築けます。
丁寧なコミュニケーションにより、単なる顧客を熱心な「ファン」へ変えていくことが可能です。
ファンとなったユーザーは、自発的に商品やサービスに関する好意的な口コミ(UGC)を投稿してくれることもあり、さらなる認知拡大や売上向上につながる好循環を生み出します。
3-3. 低コストで始められる
SNSマーケティングは、低コストで始められる点も大きな魅力です。
主要なSNSは無料で始められ、広告も少額から利用できます。
InstagramやXなどのSNSは無料でアカウントを開設でき、日々の投稿を通して情報発信が可能です。
まずは費用をかけずに運用を開始し、自社と相性のよいプラットフォームを見つけたり、成功パターンを模索したりしましょう。
施策を強化したい場合でも、数百円という少額から出稿できるSNS広告や、無料のライブ配信機能などを活用すれば、予算に応じて段階的にアプローチを広げていくことが可能です。
テレビCMや雑誌広告のような莫大な初期投資を必要としないため、リソースが限られる中小企業でもリスクを抑えながら始められる手軽さは、ほかのマーケティング手法にはない大きな魅力といえるでしょう。
4. 【成功事例】企業におすすめのSNSアカウント7選

SNSマーケティングに成功している企業の公式アカウントを7つご紹介します。
各社がどのようにSNSを活用してファンを増やしているのか、ポイントもあわせて解説しますので、自社での運用のヒントを見つけてみてください。
4-1. X(旧Twitter):株式会社タニタ

参照:株式会社タニタ(X)
体重計などで知られる健康計測機器メーカーの「株式会社タニタ」は、X運用の成功事例として知られています。
成功の要因は、企業アカウントの常識をくつがえす親しみやすい「ゆるい」キャラクター設定にあります。
一般的な企業アカウントが商品の宣伝を主軸にするのに対し、タニタのアカウントは「中の人(運用担当者)」の個人的な趣味や日常のつぶやきを積極的に投稿しています。
人間味あふれるスタイルがユーザーとの距離を縮め、30万人を超える巨大なファンコミュニティを形成しました。
象徴的なのが「#いいにくいことをいう日」に合わせた「やせろよ」という一言の投稿です。
「健康」という真面目な企業イメージとの絶妙なギャップが大きな話題を呼びました。
ユーモアを交えながらファンとの交流を深める、企業SNS運用の優れたお手本といえるでしょう。
4-2. Instagram:コーセー

「雪肌精」などで知られる大手化粧品メーカーの「株式会社コーセー」は、Instagramでファンとの理想的な関係構築に成功している事例です。
同社の公式アカウントは、かつてフォロワー数を増やすことを目標としていましたが、思うような成果につながりませんでした。
そこで方針を大きく転換し、既存のフォロワーとの双方向コミュニケーションを最優先する戦略に切り替えます。
単なる商品の紹介にとどまらず「使ってみた感想を投稿してください」とユーザーに語りかけ、投稿された口コミ(UGC)を公式アカウントで積極的に紹介しました。
ユーザーを巻き込む丁寧なコミュニケーションが功を奏し、以前はコメントがほぼ付かなかった投稿に50件以上の好意的なコメントが集まるなど、熱量の高いファンコミュニティの形成に成功しました。
数よりも「質」を重視した例です。
4-3. TikTok:ドン・キホーテ

大手ディスカウントストアのドン・キホーテは、TikTokを売上に直結させる戦略的な運用で、目覚ましい成果を上げている企業です。
同社は、ユーザーがごく短時間で動画をスワイプするTikTokの特性を深く理解しています。
「商品の魅力を、いかに短く面白く伝えるか」に特化したコンテンツを量産し、100万回再生超えのヒット動画を、今や月に何本も生み出しています。
ドン・キホーテの成功を支えるのが、独自のKPI(重要業績評価指標)設定です。
多くの企業が追いかける「フォロワー数」ではなく、売上に直結することがわかった「100万回再生動画の本数」をKPIとすることで、単なる話題作りで終わらない、成果を重視した運用を実践しています。
SNSをビジネスの成長のエンジンとして活用する、優れた事例といえるでしょう。
4-4. YouTube: 北欧、暮らしの道具店

インテリア雑貨などを扱うECサイト「北欧、暮らしの道具店」は、YouTubeでの世界観の構築によってファンを増やし、売上を拡大している代表的な成功事例です。
同チャンネルの大きな特徴は、商品を直接的に宣伝しない点にあります。
「モーニングルーティン」や「スタッフの愛用品紹介」といったVlog形式の動画の中で、自社の商品をあくまで暮らしの道具の一つとして、さりげなく登場させます。
視聴者は、心地よく編集された丁寧な暮らしの映像に魅了され「こんな素敵な生活を送りたい」という憧れを抱き、動画内に登場する商品に自然と興味を持つようになるでしょう。
徹底したブランディングによって熱心なファンを育て購買へとつなげる、コンテンツマーケティングのお手本のような戦略です。
4-5. Facebook:ドミノ・ピザ

大手宅配ピザチェーンのドミノ・ピザは、Facebookのみならず、XやInstagramといった複数のSNSアカウントを巧みに活用し、集客と売上を伸ばしている事例です。
とろけるチーズが伸びる様子を動画で投稿するなど、写真だけでは伝えきれないシズル感を視覚的にアピールしました。
ユーザーの「食べたい」という欲求を直接刺激し、購買につなげています。
「いつ、誰に、何を伝えれば心が動くか」を計算し尽くした、戦略的なアカウント運用のお手本です。
4-6. LINE:伊藤久右衛門

参照:伊藤久右衛門(LINE)
京都の老舗お茶屋「伊藤久右衛門」は、LINE公式アカウントを活用してECサイトの売上を大幅に向上させている成功事例です。
同社の戦略の特徴は、友だち登録のメリットを徹底的に訴求し、効果的に『友だち』を獲得している点です。
Webサイト上だけでなく、注文完了画面やサンクスメールなど、あらゆる顧客接点で「LINEに登録すると、こんないいことがあります」と丁寧に伝え、登録を促します。
さらに、配信内容も工夫されています。
単なるセール情報だけでなく、LINE限定のお知らせやクイズ企画など、ユーザーが「友だち登録していてよかった」と感じるような特別感のあるコンテンツを配信しています。
顧客との関係性を重視したLINE運用の事例です。
4-7. LinkedIn(リンクトイン):NEC株式会社

日本の大手IT企業であるNEC株式会社は、ビジネス特化型SNS「LinkedIn」をBtoBマーケティングに活用し、グローバル市場で大きな成果を上げています。
同社は、海外でのブランド力強化という課題に対し、これまで各拠点でバラバラに行っていたLinkedInの運用を根本から見直しました。
グループ全体で情報発信のポリシーを統一し、専門的な知見を発信するソートリーダーシップのコンテンツや導入事例などを戦略的に配信するほか、有料広告も組み合わせることで、ターゲットとするビジネス層へ的確にアプローチしました。
その結果、現在では24万人を超えるフォロワーの獲得に成功しました。
さらに、単なる認知度向上に留まらず、将来的に顧客となる可能性が高い精度の高い見込み顧客(MQL)を数多く創出し、グローバルでのビジネス機会の拡大に成功しています。

5. 企業がSNSマーケティングを始めるためのステップ

SNSマーケティングを成功させるには、正しい手順を踏むことが重要です。
ここでは、企業がSNS運用を始めるために不可欠な6つのステップを解説します。
手順に沿って進めることで、成果につながる運用の土台を築きましょう。
5-1. 目的を明確化する
SNS運用を始める最初のステップは目的の明確化です。目的が定まれば、プラットフォームの選定や投稿内容など、具体的な戦略を立てやすくなります。
「何のためにSNSを活用するのか」という目的をはっきりさせましょう。
よくある失敗は「フォロワーを増やす」「いいねをたくさんもらう」といったこと自体が目的になってしまうケースです。
「フォロワー」や「いいね」はあくまで目的を達成するための中間指標に過ぎません。
大切なのは、その先にある「ビジネス上の最終ゴール」です。
例えば「新商品の認知度を拡大したい」「ブランドのファンを育成したい」「ECサイトの売上を〇%向上させたい」「店舗への来店客数を増やしたい」といった、具体的で測定可能なゴールを設定しましょう。
最終目的が明確であればあるほど、運用の軸がブレることなく、成果につながるSNSマーケティングを実践できます。
5-2. ターゲットを決める
次に、誰に情報を届けたいかというターゲットを設定しましょう。
ターゲットを明確にすることで投稿内容の方向性が定まり、メッセージが届きやすくなるためです。
ターゲットが曖昧なままでは、誰の心にも響かない当たり障りのない投稿になってしまいます。
ターゲット設定の際は、単に「20代女性」と大まかに決めるのではなく、より詳細なユーザー像である「ペルソナ」を設定するのが効果的です。
ペルソナとは、年齢・性別・職業といった基本情報はもちろん、趣味やライフスタイル、価値観、休日の過ごし方まで、まるで実在する人物のようにリアルに設定した架空の顧客像を指します。
「この人(ペルソナ)は、どんな情報なら喜んでくれるだろうか?」と深く考えることで、投稿内容や言い回しなどの具体的なアイデアが生まれやすくなり、よりエンゲージメントの高いコンテンツを作成できるでしょう。
より効果的なペルソナ設定の具体的な手順や注意点については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
関連記事:Webマーケティングで必須のペルソナ設定|手順や注意点を解説
5-3. 自社のコンテンツに合ったSNSを選ぶ
目的とターゲットが明確になったら、次はそのターゲットが最も多く利用しているSNSを選びましょう。
ここからは、企業がSNSマーケティングで活用している主要なプラットフォームを取り上げ、それぞれの特徴やビジネスにおける強みなどを解説します。
| SNS | 主なユーザー層 | 投稿の種類 | 効果 |
| X (エックス) | 20~30代 | ・ポスト ・動画投稿 | ・認知拡大 ・ブランディング |
| Instagram (インスタグラム) | 10~30代の女性 | ・フィード投稿 ・リール ・ストーリーズ ・ライブ配信 | ・認知拡大 ・顧客との関係強化 ・ブランディング |
| TikTok (ティックトック) | 10~30代 | ・動画投稿 ・TikTokライブ | ・認知拡大 ・ブランディング |
| YouTube (ユーチューブ) | 幅広い年齢層 | ・動画配信 ・ショート動画 ・ライブ配信 | ・認知拡大 ・顧客との関係強化 ・ブランディング |
| Facebook (フェイスブック) | 30代のビジネス層 | ・フィード投稿 ・リール ・ストーリーズ ・ライブ配信 | ・認知拡大 ・顧客との関係強化 ・ブランディング |
| LINE (ライン) | 幅広い年齢層 | ・トーク ・VOOM | ・顧客との関係強化 |
| LinkedIn (リンクトイン) | 20~50代 | ・テキスト投稿 ・記事 ・画像・動画 ・アンケート | ・個人向け: キャリア形成の機会を提供 ・企業向け: 採用および販促活動を強化 |
5-3-1. X(エックス):リアルタイムの情報発信と拡散力
X(旧Twitter)は、文章や画像、動画を投稿・閲覧できるSNSです。
リアルタイムで情報がスピーディーに共有・拡散されることが特徴です。
強力な「即時性」と「拡散力」を活かし、新製品の発表や限定キャンペーンの告知など、鮮度の高い情報を瞬時に多くのユーザーへ届けられます。
「#(ハッシュタグ)」をポストや動画投稿に付けることで、ユーザーは興味のある情報を見つけやすくなります。
話題の「トレンド」と絡めた発信も効果的です。
一方で、拡散力が高いゆえの「炎上リスク」や、匿名ユーザーが多く顧客層の分析がしにくいといった注意点を理解したうえで、活用する必要があるでしょう。
5-3-2. Instagram(インスタグラム):ビジュアルでのブランディングに特化
Instagramは、写真や動画といったビジュアルコンテンツの投稿・閲覧が中心のSNSです。
文章よりも「見た目の魅力」が重視されるため、商品やブランドの世界観を視覚的に伝え、ブランディングを行うのに向いています。
特にファッションやコスメ、グルメに関心のあるユーザーに効果を発揮します。
世界観を構築する「フィード投稿」、新規ファン獲得に有効なショート動画「リール」、親近感を高める24時間限定の「ストーリーズ」、顧客とリアルタイムで交流する「ライブ配信」など、多彩な機能を使い分けることが可能です。
美しいビジュアルを通してユーザーの憧れや購買意欲を直接刺激できますが、Xのような拡散力は期待できないため、広告の併用などが有効な戦略となるでしょう。
5-3-3. TikTok(ティックトック):ショート動画による若年層への爆発的なリーチ
TikTokは、15秒から数分程度のショート動画の投稿・閲覧が中心のSNSです。
音楽に合わせたダンスやチャレンジ動画など、エンターテインメント性の高いコンテンツで爆発的な流行を生み出す力を持っています。
かつては若い世代が中心でしたが、近年はユーザー層が拡大し、幅広い世代へのアプローチが可能になりました。
TikTokの特筆すべき点は、AIによる強力なレコメンド機能です。
フォロワー数にかかわらず、コンテンツが面白いと判断されれば「おすすめ」に表示され、一夜にして数百万回再生される「バズ」が起きやすい構造になっています。
通常の動画投稿に加え、リアルタイムで交流できる「TikTokライブ」なども活用し、親しみやすいコンテンツを通して爆発的な認知度向上を狙うことが可能です。
5-3-4. YouTube(ユーチューブ):動画による深い情報提供とファン育成
YouTubeは、世界中で23億人以上が利用する動画共有プラ-ットフォームです。
YouTubeの大きな特徴は、コンテンツの自由度の高さにあります。
通常の動画配信では、商品の使い方を解説するチュートリアルやブランドストーリーなど、長さを気にせず深い情報を提供できます。
顧客との信頼関係を築き、熱心なファンを育成するのにおすすめです。
また、TikTokのようなショート動画を投稿して新規の視聴者を獲得したり、ライブ配信でリアルタイムの質疑応答を行ったりと、目的に応じて多様なアプローチができます。
ただし、質の高い動画を制作するには多くの時間とコストを要するため、計画的なチャンネル運用が必要です。
5-3-5. Facebook(フェイスブック):高年齢層へのアプローチと信頼性の担保
Facebookは、実名での登録を基本とするSNSです。
ユーザーは30代以降が中心と年齢層が高く、企業の信頼性を伝えたり、BtoBを含むビジネス関連の情報を発信したりするのに適しています。
無料で作成できる「Facebookページ」上で、公式情報を伝えるフィード投稿はもちろん、ショート動画のリール、24時間で消える日常的なストーリーズ、リアルタイムで交流できるライブ配信など、多彩な機能を使ってユーザーとつながることが可能です。
実名制であるため、匿名SNSよりも炎上リスクが低いのが大きなメリットですが、若年層へのアプローチにはあまり向かない側面もあります。成果を出すには、継続的な情報発信が必要となります。
5-3-6. LINE(ライン):クローズドな環境での顧客との深い関係構築
LINEは、幅広い年齢層に普及しているコミュニケーションアプリです。
「LINE公式アカウント」を開設することで、友だち追加してくれたユーザーに直接メッセージを届けられます。
最大の強みは、プッシュ通知による高い開封率です。
クーポンやセール情報などを、トーク画面を通してメルマガよりも高い確率で見てもらえます。
また、1対1のトークで個別の問い合わせ対応も可能なため、顧客との深い信頼関係を築くのに適しています。
拡散力は期待できませんが、ショート動画を投稿できる「LINE VOOM」なども活用しつつ、友だち登録者にとって価値のある情報を適切な頻度で届けることで、効果的な販促ツールとなるでしょう。
5-3-7. LinkedIn(リンクトイン):BtoBマーケティングと採用に特化
LinkedInは、ビジネス特化型のSNSです。
ユーザーは自身の経歴やスキルを登録し、ビジネス上の人脈形成や情報収集の場として活用しています。
企業にとっては「採用活動」や「BtoBマーケティング」に有効なプラットフォームといえるでしょう。
通常のテキスト投稿に加え、自社の専門知識を深く伝えられる記事機能、製品やイベントを紹介する画像・動画、業界の意見を収集できるアンケート機能などを活用できます。
ほかのSNSとは異なり、ビジネスに関心が高いユーザー層に直接アプローチできるため、質の高いリード獲得や、専門人材の採用において大きな効果が期待できます。
5-4. SNS運用マニュアルを作成する
本格的な運用を開始する前に、必ず「SNS運用マニュアル」を作成しましょう。
マニュアルは、炎上などのトラブルを未然に防ぎ、万が一問題が発生した際に迅速かつ適切に対応するために必要です。
担当者が変わっても、運用の品質を維持でき、業務が特定の人にしかわからない「属人化」を防ぐ効果もあります。
マニュアルには、投稿の頻度や言葉遣いといった基本的なルールから、コメントへの返信ポリシー、炎上時の具体的な対応フローまで明記しましょう。
誰が投稿を作成し、誰が承認するのかといった運用体制も明確に決めてください。
5-5. 運用計画を立てる
SNS運用の方向性が決まったら、具体的な「運用計画」を立てましょう。いつまでに、何を、どのように実行するのかをスケジュールに落とし込みます。
計画を立てるうえで欠かせないのが、KPI(重要業績評価指標)の設定です。
KPIとは、最終ゴールに向けた中間目標のことで「3か月でフォロワー〇〇人」「投稿ごとのWebサイトへのクリック数〇〇件」といった具体的な数値を指します。
KPIを設定することで、目標に対する進捗状況が明確になり、チーム内で共通の目標を持って運用に取り組めます。
最も重要なことは、定期的にKPIの達成度を振り返り「なぜ目標を達成できたのか」「次はどう改善すべきか」を分析することです。
PDCAサイクルを回し続けることで、アカウントは着実に成長していきます。
SNSを効果的に運用する方法については、下記の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:SNSでWebマーケティング効果が倍増!活用ヒントをご紹介
5-6. SNS運用代行会社に依頼する
自社でのSNS運用が難しい場合は、専門の運用代行会社に依頼するのも有効な選択肢です。
「社内にノウハウがない」「担当者のリソースが足りない」「運用しているが成果が出ない」といった課題には、多くの企業が直面します。
SNS運用のプロである代行会社は、さまざまな課題を解決するための専門知識と経験を持っています。
代行会社には、日々の投稿作業だけでなく、成果を出すための戦略立案やコンテンツ制作、広告運用、効果分析など、SNS運用に関するあらゆる業務を任せることが可能です。
専門家の力を借りることで、自社だけで運用するよりも早く確実な成果が期待でき、ビジネス目標の達成を加速させられるでしょう。
6. 企業がSNSを運用するデメリットと注意点

企業がSNSを運用する際には、多くのメリットがある一方で知っておくべきデメリットや注意点も存在します。
特に「炎上のリスクがある」「成果が出るまで中長期的な運用が必要」という2つのデメリットは、多くの担当者が経験するでしょう。
デメリットを事前に理解し、対策を講じておくことが、後悔しないSNS運用につながります。
以下で、デメリットを1つずつ具体的に見ていきましょう。
6-1. 炎上のリスクがある
SNS運用における大きなデメリットは炎上のリスクです。
不適切な投稿があった場合、SNSの高い拡散力はネガティブな情報も瞬時に広めてしまうためです。
「炎上」してしまうと、投稿を削除してもスクリーンショットなどで拡散され続け、企業のブランドイメージや信頼を大きく損なう可能性があります。
回復には多大な時間と労力を要するため、事前の対策が不可欠です。
炎上のきっかけは、担当者の意図しない発言や誤解、顧客対応の不備など、あらゆる場面に潜んでいます。
リスクを避けるためには、事前に社内でSNS運用のガイドラインを策定し、複数人でのダブルチェック体制を整えることが重要です。
担当者への教育を徹底し、万が一の事態に備えた対応マニュアルを用意しておくことが、安全なSNS運用に欠かせない要素です。
6-2. 中長期的な運用が必要
SNS運用は成果が出るまで時間がかかる点もデメリットです。
ファン(フォロワー数)を増やして成果につなげるには継続的な発信が必要となります。
まずは、ユーザーにとって価値のある情報を地道に発信し続けることで、少しずつ信頼を獲得し、ファンを増やしていく必要があります。
短期的な「バズ」を狙うのではなく、コツコツとアカウントを育てていく中長期的な視点が必要です。
目に見える成果がすぐに出なくても焦らず、長期的な計画に基づいて継続的に取り組む姿勢が、SNS運用を成功させるポイントとなります。
7. まとめ
X(旧Twitter)やInstagram、TikTokなどのSNSの特徴や、SNSマーケティングにおける成功事例をご紹介しました。
タニタによる運用担当者の親しみやすいキャラクターを打ち出した投稿や、ファンとの丁寧な対話を重視したコーセーの活用法、ドン・キホーテの成果に直結するKPI設定など、各社のアプローチはさまざまです。
しかし、その根底には「各SNSの特徴を深く理解して自社の強みと掛け合わせ、ユーザーとのコミュニケーションを大切にする」という共通した成功の秘訣が見えてきます。
成功事例のように成果を出すには、専門的な知識や最新のノウハウ、運用を継続するためのリソースが必要です。
「何から手を付ければいいかわからない」「担当者が自分一人で、手が回らない」と感じている中小企業の担当者様も多いのではないでしょうか。
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